研究概要 |
目的:視野の各象限に呈示した色発光ダイオ-ドを認知する時間を測定,デ-タ処理することによって色認知の特性ならびに左右半球の優劣を検討する。 方法:色の呈示は黒板の中心に固視および予告用の発光ダイオ-ドを組みこむとともに,各象限の10°,20°,30°に2鉄発光ダイオ-ドを装着した。測定は正常人を対象とし,両眼開放で,被検者が指定された色を認知したら直ちに押しボタンを押す方法によった。コントロ-ルとして,色を指定しないで得られた単純反応時間を用いた。いづれも右手と左手の両方行った。 結果:予備実験にて色弁別は30°で誤認が多かったので,本実験では外し,10°と20°のみとした。10名(平均年齢28歳)の成績の一端を示す。単純反応時間(平均),左手ー左視野233.7msec,左手ー右視野234.8,右手ー左視野238.9,右手ー右視野237.8。色弁別反応時間(平均),左手ー左視野301.3,左手ー右視野317.9,右手ー左視野330.4,右手ー右視野352.6。以上より色弁別反応というtaskを課すと,コントロ-ルに比較しかなりの遅延をみることが明らかとなった。また,反応に用いた手と視野の組合せによる相異は,コントロ-ルではほとんど認めないが,色弁別の場合は左手ー左視野の組合せが最も早く,右手ー右視野の組合せが最も遅かった。色認知機構の存在と右半球優位性を示唆する実験成績と考えられた。 研究経強:平成2年度末期に色弁別反応時間測定装置が,ハ-ドおよびソフトとも一応出来上がった。早速実験を開始し,平成3年度にはその成果を2,3の全国学会で発表した。デ-タ処理が更に敏速に行えるべくソフトの改良を行っている。
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