研究課題/領域番号 |
02670797
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
崎元 卓 日本大学, 医学部, 助教授 (70111515)
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研究分担者 |
江波戸 文秀 日本大学, 医学部, 助手 (00158784)
葛西 浩 日本大学, 医学部, 講師 (80133437)
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キーワード | 角膜実質 / 角膜上皮 / 相互作用 / 新生血管 / 遊走細胞 / 結膜上皮 |
研究概要 |
角膜疾患の中には上皮のみではなく実質に及ぶ障害が多々あり、上皮病変が実質に、あるいは実質病変が上皮修復に悪影響を及ぼしている例が少なくない。これらの病変の一部には結膜被覆を行うことにより上皮のみならず実質組織の再構築が行われ、炎症の終息が見られるものがある。今回は、角膜上皮、結膜上皮と実質組織の相互関係を明らかにすることを目的として実験を行った。角膜実質が正常なもの、浮腫を伴うもの、炎症を伴うもの、血管を伴うものに対し結膜被覆を行い経過を観察した。結膜被覆後一時的に実質に浮腫が認められその後細胞浸潤が起こりkeratocytoが増加しそれが正常に戻るにつれ実質内の浮腫、細胞浸潤が減少していくのが観察された。結膜で被覆された角膜実質は水分の蒸発が減少しその結果浮腫が起こり、膠原線維間が開くため細胞浸潤が容易に起こった。更に結膜に存在する血管の力をかり浮腫が消失しやすくなったものと考えられた。一方、正常な実質に被覆したものでは角膜上皮細胞の再生が速く、被覆結膜の後退も速いことより正常な実質には結膜上皮が生着しがたいことが示唆された。角膜と結膜上皮の境界ではどのような競合が起こるかを調べる目的で角膜上皮剥離後、角膜輪部に正常な角膜輪部より切除したlenticleを角膜側と結膜側を逆に移植すしたものと正常な位置に移植したものにつき実験的に比較を行った。角膜と結膜を逆方向に移植したものの方がより速く角膜上に上皮細胞の再生を認め上皮の創傷治癒の速度は角膜上皮細胞に比べ結膜上皮細胞の方が勝っていた。結膜上皮により被覆された実質では通常の実質細胞以外の遊走細胞が長期にわたり見られ層構造を形成する膠原線維にも4型コラ-ゲンと思われるものが観察された。本年度の実験では培養細胞を用いた修復実験はなお充分な結果を得ていないが現在経時的に試料を検索中である。今後観察結果を報告する予定である。
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