研究概要 |
1.雌性家ウサギを用い、一側の迷走神経根を頭蓋腔内で切断の後、両側の全ての咽頭収縮筋にHRPを注入した。注入にはマイクロシリンジを用いた。注入後24〜48時間動物を生存させた後、潅流固定を行い、テトラメチルベルチジンを用いてHRP標識細胞を検出した。神経根切断側では標識細胞はみとめられず、咽頭収縮筋運動神経細胞の軸索が迷走神経根を経由することが示された。 2.ウサギ口蓋物張筋運動神経細胞の中枢局在を検索すべく、口蓋物張筋にHRPを注入した。注入後の操作は1と同じである。標識細胞はohexの吻側6.0〜8.5mmで三又神経運動核の吻側2/3に出現した。運動核内での出現位置は同核の最腹側部の内側領域で、松田の分類(広大歯誌、1979)による背外側亜核(咬筋、側頭筋および内側翼究筋を支配)の腹内方、かつ腹内側亜核(顎二腹筋前腹や顎舌骨筋を支配)の腹方、すなわち外側翼究筋支配領域に散在性に存在した。標識細胞数の平均は50個であった。切片(60Mm)毎の標識細胞数は1〜11個で、吻尾方向での細胞数の分布に明瞭なピ-クは見られなかった。核小体のみとめられる細胞体に最大限に内接する楕円体の長径と短径の和の1/2で表わした標識細胞の大きさは23.8±3.1Mm(長径29.1±5.2,短径18.9±2.9)で、単峰性の分布を示した。細胞の大きさは背外側亜核の細胞と比べて小さく、外側翼究筋領域や腹内側亜核の細胞とほぼ同じであった。
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