1.ウサギ咽頭収縮筋を構成する上咽頭収縮筋、中咽頭収縮筋、あるいは甲状咽頭筋や輪状咽頭筋にHorse-radish peroxidase(HRP)またはNuclear yellow(NY)を注入し、これら各筋の運動神経細胞の疑核内局在を検討した。ウサギ疑核は、吻側半の高さで細胞の密集するCompact cell group(CoG)、その外側と内側にそれぞれ散在するLateral and Medial scattered cell groups(SGIとSGm)、および尾側2/3の高さで細胞が散在するDiffusecell group(DiG)の4細胞群よりなる。咽頭収縮筋運動神経細胞はobexの吻側0.5-2.9mmでCoGの背内側部に見られ、obexの吻側1.2-2.9mmのCoGの腹外側部を占める食道筋支配運動神経細胞とは明瞭な分離を示した。上咽頭収縮筋、中咽頭収縮筋、甲状咽頭筋、および輪状咽頭筋の各運動神経細胞は位置的に大きく重複するものの、上記領域内でこの順に勿尾方向に配列する傾向を示した。2.ウサギ口蓋帆張筋にHRPを注入した。同筋運動神経細胞はobexの吻側6.0-8.5mmで三叉神経運動核の吻側の2/3の高さにあり、同核の背外側亜核の腹内側で、腹内側亜核の腹側に存在した。3.ウサギ軟口蓋にHRPを注入し、口蓋筋運動神経細胞の疑核内局在を調べた。運動神経細胞はobexとその吻側1.9mmのCoGにあり、咽頭収縮筋運動神経細胞存在域とは一部重複するもののその尾側につづく細胞群を構成し、食道筋運動神経細胞存在域とは明瞭に分離した。口蓋筋のうち口蓋咽頭筋運動神経細胞は上記の口蓋筋支配域でobexの吻側0.5-1.9mmに存在した。4.神経へのHRP注入、あるいは当該神経のみを残した口蓋-咽頭筋や迷走神経下神経節へのHRP注入により、舌咽神経、迷走神経各枝、および副神経延髄根の各起始細胞の疑核内局在を検討した。その結果、疑核の咽頭収縮筋および軟口蓋筋支配域は迷走神経咽頭枝起始細胞により占められ、さらにごく少数の上喉頭神経起始細胞が咽頭収縮筋支配域に含まれることが明らかになった。
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