雄ウズラにエストロジェン投与を行い骨髄骨を誘導し、経時的に観察した。骨内膜細胞がエストロジェン投与により細胞小器官の発達した骨芽細胞に分化した。基質形成はおよそ48時間で明瞭となり、活発な骨芽細胞も急激に数が増加した。破骨細胞は骨基質の石灰化が顕著となる時期(投与後3〜5日)に一致して数が増加するが細胞体は小さく、核の数も2〜3個で不活発な様相を呈していた。破骨細胞は骨量の増加とともに数が増えるが不活発であった。これらの結果からエストロジェンは骨形成を誘導することが明らかであった。一方、破骨細胞にエストロジェンリセプタ-が存在するという報告が最近なされたが、少なくともエストジェンは破骨細胞の出現には直接関与しないと推察された。 雄ウズラにエストロジェンを投与し骨髄骨を形成させた後、投与を中止し吸収過程を調べた。中止後ほぼ5日経過すると骨表面は核が2〜3個の小型で不活発な破骨細胞によっておおわれるようになり、その後骨量の減少は顕著となり、破骨細胞は大型化するがRuffled borderを有するものは少なかった。これらの結果からエストロジェンの欠乏によって骨髄骨は吸収されるが、活発な破骨細胞が少ない点が今後の問題として提起された。 産卵ウズラにタモキシフェンを投与しエストロジェン作用を阻害すると、破骨細胞は不活化することが観察された。この結果は従来の報告とは異なり、エストロジェンが破骨細胞を活性化している可能性を示唆するものである。以上を総括するとエストロジェンは骨内膜細胞を骨芽細胞に分化させ骨形成を誘導し、エストロジェン欠乏は結果的には骨吸収をもたらすが、その機構について、さらに破骨細胞に対するエストロジェンの作用については検討を要する。
|