ウズラの骨髄骨形成におけるアンドロジェンの影響と形成された骨髄骨に対するアンドロジェン欠乏に影響を雄の去勢ウズラおよび抗アンドロジェン剤(cyproterone acetate)を用いて形態学的に検索した。また、前年度に引き続きエストロジェンの標的細胞を免疫組織化学的に調べた。 エストロジェン投与下にある去勢ウズラにアンドロジェンを投与すると骨内膜細胞はおよそ24時間で活発化し、活性の高い骨芽細胞に分化した。基質形成は約48時間後に明瞭となった。その後経日的に骨芽細胞の増加と骨基質の増加が認められた。これら骨髄骨形成、発達過程は雄にエストロジェン投与したものと類似であった。去勢ウズラに前述の方法で充分骨髄骨を形成させた後ち、アンドロジェン投与を中止すると、投与中止後約1週間で活発な様相を呈する破骨細胞が出現しはじめた。その後、骨量は減少するが急激な減少は認められず投与中止後約30日を経過してもかなりの骨髄骨が存在していた。破骨細胞の数は増加し大型化するがruffled borderを有し活発な骨吸収像を示すものは少なかった。すなわち、観察した期間(30日)においてはアンドロジェン欠乏による骨量の減少はエストロジェン欠乏に比較して軽度であった。また、産卵ウズラに抗アンドロジェン剤を投与して観察すると、産卵率は低下するが骨量の減少は抗エストロジェン剤を投与したものより極めて軽度であった。これらのことから、アンドロジェンは骨髄骨形成には必須であるが、その存在意義はエストロジェンの存在意義とは異なる可能性が考えられた。前年度に引き続いて行ったエストロジェンの標的細胞検索の結果、骨芽細胞にエストロジェンの受容体があることがわかり、最近報告された結果を確認する結果となった。一方、破骨細胞にも受容体が存在するという報告があるので、さらに検索を進める。Invivoでのビオチン化テストステロンによるアンドロジェン標的細胞の同定法は検討を要する。
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