研究概要 |
歯胚形成時に,歯胚誘導能を持つといわれる神経堤細胞の位置依存性の細胞間相互作用に関しては,細胞動態等不明確な問題が山積しているのが現状である。当研究は,異系マウス間で神経堤細胞の抗体を作り,それをもとに金コロイドプロ-ブ化してマ-キングし走査電顕等を用いて動態追跡を行ない,問題点の解明の緒を見出すのを目的として開始された。 まず,C57B1/6系マウスの無固定の所要期の胚の歯堤下の間充織細胞を抗原にして,Balb/c系マウスのヒ細胞を用いてin vitro immunizationを行ない,PAI細胞を用いてハイブリド-マを作り抗体をスクリ-ニングした。しかしこの方法では抗体価が低かった。そこで従来の感作方法を改良し,上臓へ直接抗原を注入して初回免疫をした後,3週間後にヒ細胞を取り出し-70℃で凍結保存しておいた同一抗原を用いin vitro immunizationを行なった。一方,スクリ-ニングに関しては平成2年度に購入したマイクロウェ-ブプロセッサ(バイオラド社,H2500型)を用いた固定が有効であった。即ち,細胞表面抗原の保存性が良く多量の均質な連続切片を必要としたため,マイクロウェ-ブ固定とAMex法とを連結させた新AMex法を考案した。この方法で50%アセトン,0.1MPBS中で,40℃,360W,5分照射が最も有効な条件と判明した。組織はパラフィン包埋し,連続切片を作製して蛍光抗体法でのスクリ-ニングに共した。なお,その際の免疫反応にもマイクロウェ-ブは有効であり,従来の1/3以下の時間で終了した。また,現在,無固定の抗原を新AMex固定抗原にかえた方法でα抗体作製を検討している。現在,平成2年度に確立した方法と条件により数種の単クロ-ン抗体を得たが,網膜などとの共通抗体が多いため,スクリ-ニングを厳密に検討し,神経堤細胞のみの抗体を得るべく,サブクロ-ニングを行なっている。
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