研究概要 |
6年前からBMPの抽出・精製を進め、又BMGの骨誘導に関する組織変化を調べてきた。従来から知られていたBMGの生体内移植での骨誘導はなぜ筋組織に移植したときもっとも高率で骨形成が生ずるのかを、主として電子顕微鏡で追跡し、筋組織の崩壊に加え、基底膜の消失と筋衛星細胞の活性化、そして軟骨又は骨形成に連続する一連の変化からin vivoで(Okamotoら、1991)、in vitroで(Horisakaら,1991)ともに筋組織中の筋衛星細胞と線維芽細胞とが骨原性の細胞に分化転換して軟骨あるいは骨を形成することを明らかにした。また、精製した水不溶性BMPをHydroxyapatiteに吸収させ骨膜下に移植することにより、外傷のない骨表面に多量の軟骨・骨を実験的に形成させることに成功し、本研究室で精製したBMPの移植効果とそのcarrierについての方法を確立した(Horisakaら,1991)。加えて新しく得られた水可溶性BMPの活性検定も行っている。また、BMPあるいはBMGの生体内移植による骨誘導ではいわゆる軟骨・骨形成に先行して無細胞性の石灰化が生ずること、そしてこれが破骨細胞に吸収された後に、通常の細胞性の石灰化が生じて骨形成に至ることを見出し(Yamashitaら,1991)、これにacellular mineral deposition(AMD)と命名した。今後は以上の諸結果の中からBMPの標的細胞として、筋衛星細胞や線維芽細胞、産生細胞としては骨芽細胞、軟骨芽細胞あるいは胎仔性の間葉系細胞等を材料として用い、中胚葉細胞の誘導機構の解明を行う予定である。
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