研究概要 |
1.歯胚の形成過程における上皮内細胞の存在と分布に関する病理組織学的検討 イヌの胎児を用い、通法どうりにパラフィン埋包連続切片を作製し、メラノサイトの出現の有無と、その分布状況について検討を行い、以下のような結果を得た。 (1)胎生前期〜中期頃から口腔粘膜上皮にメラノサイトの出現をみるが、それよりやや遅れて顎骨内の歯胚周囲の間葉組織内にメラノサイトの出現をみた。これらのメラノサイトは、複数の長い細胞質突起を有するが、その数は上皮内に分布するものよりも少なかった。 (2)顎骨内の歯胚周囲間葉内組織にメラノサイトの出現をみた部位は、口腔粘膜とは皮質骨を介して明らかに離れていた。したがって、胎生期におけるメラノサイトのmigrationは皮膚や粘膜の上皮に沿ってなされているのみならず、骨内においてもメラノサイトのmigrationがおこっているものと考えられた。このような現象は内外での報告がなく、新たな発見であった。 (3)顎骨内の歯胚周囲間葉組織内に出現したメラノサイトと、歯胚上皮、歯堤上皮、退化歯原上皮との直接的な関連は見出せなかった。したがって、歯胚にメラノサイトが接近するのは胎生後期以降と思われた。 以上の結果の要旨は第33回歯科基礎医学会(1991年10月,鹿児島)において発表した。 2.ヒトの歯原性病変に関する病理学的事項 (1)メラノサイトの出現状況とその意義について(第33回歯科基礎医学会(1991年10月,鹿児島)にて発表)。 (2)歯原性病変の病理学的特性や鑑別診断等について(裏面論文発表)。
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