研究課題/領域番号 |
02670818
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
吉田 寿穂 朝日大学, 歯学部, 助手 (80102119)
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研究分担者 |
志賀 久隆 朝日大学, 歯学部, 助手 (10076044)
小萱 康徳 朝日大学, 歯学部, 助教授 (30076046)
明坂 年隆 朝日大学, 歯学部, 教授 (70116523)
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キーワード | 小柱エナメル質 / 無柱エナメル質 / エナメルタンパク / エナメル芽細胞 / 硫酸化複合糖質 / 石灰化 |
研究概要 |
先に我々はある種の硫酸化複合糖質が基質形成期エナメル質表層部ならびにエナメル芽細胞の分泌果粒、ゴルジ領域および一部ライソゾ-ムに局在していることを示し、さらに急速凍結固定エナメル質表層部において各針状結晶を連絡する梯子状構造物を認めた。今年度さらに、アメロゲニン(免疫組織化学)と硫酸化複合糖質(高鉄ジアミン)の分布様式について検討を加えた。従来アメロゲニンは基質形成期エナメル質全層にほぼ均一に分布すると考えられていた。しかしながら、その基質形成側すなわちト-ムス突起に面してラベリングの極めて弱い領域を確認した。この部位は、硫酸化複合糖質が高密度に局在していることろで、硫酸化複合糖質の役割を考える上で興味ある知見といえる。さらに、ライソゾ-ム内においても、通常前者はその中央部に後者は辺緑部にみられ、両者が混在することはなかった。また、将来のエナメル・セメント境界付近のエナメル質には数層の硫酸化複合糖質高密度分布帯が現れた。このことは、同部位のエナメル芽細胞の機能と密接に関連しており、今後硫酸化複合糖質の脱却機構を研究する上で重要である。一方、大部分の分泌果粒内では上記成分が共存しており、従って分泌後アメロゲニンは硫酸化複合糖質とは異なり速やかにト-ムス突起から一定距離(約200ー500nm)離れた領域に移送されるものと思われる。さらに、両生類(イモリ)の無柱エナメル質についても同様の実験を試みた結果、基質形成期エナメル質全層を通じて(最深層の象牙質とエナメル質の混在部を除く)硫酸化複合糖質は検出されず、一方エナメル質表層部においても哺乳類小柱エナメル質にみられたようなアメロゲニン低密度分布領域は観察されなかった。このように少なくとも上皮性硬組織形成にとって硫酸化複合糖質は必須条件ではなく、小柱エナメル質の形成にみの関与している可能性が示唆された。
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