研究課題/領域番号 |
02670819
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
明坂 年隆 朝日大学, 歯学部, 教授 (70116523)
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研究分担者 |
中島 経夫 朝日大学, 歯学部, 助手 (60139938)
吉田 寿穂 朝日大学, 歯学部, 助手 (80102119)
志賀 久隆 朝日大学, 歯学部, 助手 (10076044)
小萱 康徳 朝日大学, 歯学部, 助教授 (30076046)
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キーワード | 破骨細胞 / 刷子縁 / 明帯 / 膜内粒子 / 造骨細胞 / プロトンポンプ / ギャップ結合 |
研究概要 |
平成2年度の研究計画として化学固定後凍結固定を行ない凍結レプリカを作成し骨細胞の細胞膜面の分化状態を詳細に透過型電子顕微鏡にて検討した。それらの研究成果については平成2年度歯科基礎医学学会総会にて発表した。凍結レプリカ法は破折面が細胞膜の疎水性結合面を通過するため細胞膜の内部を観察するための唯一の形態観察手法といえる。破折面に現れる粒子は膜蛋白粒子を示し細胞膜上の機能・構造蛋白であると考えられており、それらの形状・密度・分布状態を検討することは細胞の機能・構造をさらに理解する。現在まで硬組織を研究対象とし凍結固定を用いた研究はその技術的困難性からほとんどなされてこなかった。私たちは初めて骨細胞(破骨細胞・造骨細胞)を凍結レプリカ法で観察することに成功し興味ある所見を得ることができた。特に破骨細胞ではレプリカの上でも3つの膜ドメインを区別することができた。骨吸収に関わる刷子縁の膜では他の膜部分では見られない高い膜内粒子密度と、rod型の特有な粒子が存在することが判明した。Rod型粒子は破骨細胞の細胞外酸性化と関連するプロトンポンプATPaseの可能性を示唆した。また他の細胞膜面で見られない高い粒子密度は刷子縁膜の豊富な機能蛋白の存在を示した。骨に接着する面のいわゆるattaching clear zone(接着帯)は膜内粒子の欠如した部分が見られその部が骨面への接着に関わるものと思われる。造骨細胞間には特有なギャップ結合が存在したが、破骨細胞にはいかなる結合装置も見ることはなかった。そしてこの種の結合様式は造骨細胞の成熟と密接に関連していた。 当初の目的の一つである無化学固定後の骨細胞ディ-プエッチング像解析する為には、骨硬組織の急速凍結時の解決すべき技術的諸問題があり平成3年度での研究目的の一つとしたい。
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