研究概要 |
細胞内情報伝達系の研究は、多種の細胞を対照に急速な進展を示し、特にカルシウム(Ca)依存性の系に関与するイノシト-ル1,4,5ー三燐酸(IP_3)、プロテインキナ-ゼC(PKC)の生成過程及びその役割の解明は著しい。しかし、体内Ca量の大部分を含む硬組織の形成を荷う骨系細胞のそれは、当研究室の一連の研究を除くと殆んど報告されていない。 本研究は、骨由来細胞が細胞外Ca濃度が生理的に低濃度即ち低Ca環境下で、外部刺激に対する細胞応答及び細胞内遊離Ca([Ca^<7+>]i)の動態を正常環境下のそれと比較し、骨の病態解明への手縣りとして行った。 [方法]細胞:ラット胎児の菅蓋骨より採集し8日間培養した初代細胞を用いた。環境:培養液のCa濃度を正常2.5mM、低環境0.34及び0.15mMとした。側定:[Ca^<7+>]iはFura2/AMによる蛍光光度、PKC活性測定は[rー ^<37>P]ATPによるイムノアッセイ法、PKC蛋白質分析は電気泳動法を用いた。猶、研究上必要性を生じたアルカリ性(ALP)と酸性(ACP)フォスファタ-ゼ活性測定はkind&king法により、分光光度計で得た。 [結果]低Ca環境下の細胞では対照(正常)のそれに比較し、以下の結果が得られた。[Ca^<7+>]i量:いづれも細胞内全Ca量は低いが、1mM CaCl_7存在下で細胞を刺激すると[Ca^<7+>]i量の増加は極めて高く、低環境の細胞が著しいCa取込みが起こることを示唆する。PKC活性:Cytosolic及びsolubilizd particulate fraction共に有意に任く、以前に測定したIP_3量の結果と同調し、細胞応答反応が抑制されていることが考えられた。PKCの分子種の同程は現在進行中である。この遅れは、必要上測定したALP活性が正常に比べ低Ca環境の細胞で顕著に高く、ALPaseがCaの取込みに重要な役割を有することから、Caの動態に重要な方向を与えていると考え、この点について実験の方向を展開している為である。 本年は、この遅れ及び派出的な点について研究を進めたい。
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