研究概要 |
〔目的〕最近、対側または同側の中脳、特に、結合腕周囲核、楔状核、中心灰白質外側部を含む領域(中脳parabrachial area PBA)へ脊髄後角および三叉神経感覚核ニュ-ロンが強く投射していることがわかり、この領域の痛覚に関する役割が強調されている。本研究は、PBAから顔面・口腔領域の機械刺激に反応するニュ-ロンの記録い,さらにPBAへ投射する延髄網様体体性感覚ニュ-ロンを見いだすことを目的とした。 〔実験方法〕αークロラロ-スで麻酔したネコの小脳を除去し、ガラスまたはタングステン微小電極をPBAや網様体へ刺入した。そして身体,顔面・口腔への、ピンセットによる侵害刺激、非侵害機械刺激、または熱刺激や歯髄刺激に反応するニュ-ロンを捜した。 〔結果〕上記の刺激に反応する約120個のニュ-ロンをPBA領域から記録した。それらの大部分はピンチのみ、又は侵害熱刺激に反応するニュ-ロンであった。また小数であるが、軽い触・圧刺激にのみ反応するもの、侵害、非侵害両刺激に反応するもの、自発放電が侵害刺激によって抑制されるものも見出された。多数が歯髄入力を受け,受容野は非常に大きいものが多かった。さらに脊髄後角や三叉神経感覚核とPBAの間に存在する50個の中継ニュ-ロンを延髄網様体から見出した。これらはPBAニュ-ロンと似ていたが受容野は小さかった。 これらの結果は、PBA伝導系の痛覚に関する大きな役割を示唆するとともに,体性感覚情報は直接または関接的にPBAへ入力することを示す。
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