研究課題/領域番号 |
02670852
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
土谷 裕彦 大阪大学, 歯学部, 教授 (40028709)
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研究分担者 |
安永 哲也 大阪大学, 歯学部, 助手 (70182342)
河合 啓次 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40204664)
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キーワード | フッ素徐放性レジン / 抗プラ-ク性 / Streptococcus sobrinus / フッ素 / グルカン / グルコシルトランスフェラ-ゼ / 抗菌性 / 付着 |
研究概要 |
フッ素徐放性レジンの有する抗う蝕性の本態は長期間溶出した微量のフッ素が近接のエナメル質や象牙質などの歯質強化をひきおこすことによるものと考えられている。また、一般にはフッ素系樹脂は表面エネルギ-が低く、粒子の付着が起こりにくいことが知られている。そこで、本研究はまずレジン表面への口腔細菌およびその産生物から構成されるプラ-クの付着量の定量を行った。その結果、臨界表面張力の大きいフッ素徐放性レジン表面ではプラ-ク付着が有意に抑制されることが確認された。しかし、プラ-ク形成能に関してはフッ素溶出機構(MFーMMA共重合体)をもたない対照レジンも、本レジンと同程度の抗菌性および抗グルカン合成酵素活性を示したことから考えて、構成レジンモノマ-等のような、フッ素以外の溶出成分もまたプラ-ク形成阻害に作用していることが示唆された。本研究ではさらに本レジンからのフッ素および構成成分の溶出量の定量測定を行い、それぞれの溶出量ではプラ-ク形成阻害が十分起こり得ることを確認した。以上、これらの実験より、本レジンはプラ-クの形成および付着に対して抑制効果を有し、著明な抗プラ-ク性を有していることが判明した。しかし、本レジンの臨床応用としては現時点においては小窩裂溝填塞材が考えられているが、今後、さらに、機械的性質の改良をすすめ、フッ素徐放性機能を有する充填材料への応用も有意義なものと思われる。その際にも抗プラ-ク性の観点からの検討がますます重要になるものと思われ、歯質強化の観点とともに、そのレジンの抗う蝕性について検討してゆく予定である。
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