研究概要 |
平成3年度における研究成果は以下の通りである。 1.根面窩洞は歯冠に比較して保持形態が得られにくいため,その修復には象牙質接着材料が望ましい。修復物は口腔で絶えず繰り返し応力を受けるための接着力の検討には疲労試験が最も適している。そこで37℃水中において剪断接着疲労試験が行える試験機を試作し,その特性を検討した結果,小型試料の接着疲労試験機として極めて信頼性の高い事が判明し,歯科材料・機械1991年第10巻5号に掲載した。 2.ウシ前歯根部象牙質に対しin vitroにてAPF,およびAPFと1%塩化ランタンを用いる二段処理法を適応し,pH4.0の0.1M乳酸脱灰ジェルに4日間浸漬する耐酸性試験を行い,SEMにて比較検討した。その結果,APFーランタン二段処理法を施した象牙質表面はフッ化ランタンと思われる非晶質の球状反応物により被覆され,細管開口部もデンティナルプラグにより完全に閉鎖されていたのに対し、APF群は脱灰され象牙細管開口部はロ-ト状に拡大していた。以上の結果より,APFーランタン二段処理法は他のフッ化物処置法に比べて極めて高い耐酸性を象牙質に与えることが示された。この研究成果は1992年第69回IADRにおいて報告し、日本歯科保存学雑誌第35巻3号に掲載予定である。 3.象牙質窩洞に辺縁封鎖性に関わる因子として象牙細管の走向および水分について検討するため,陶材を利用したモデル実験を行った結果,窩壁に関わる水の影響が多大であることが示された。研究成果は1992年日本歯科保存学雑誌第35巻5号に掲載予定である。 4.ウシ象牙質に対しAPFおよびAPFーランタン処理を施したウシ象牙質試片をダクロンガ-ゼで被覆し、Intraoral Cariogenicity Testを用い検討した。その結果,APFーランタン二段処理法を施した象牙質はin vivoにおいても優れた抗齲蝕性を示した。本結果は1992年秋期日本歯科保存学にて発表予定である。
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