研究概要 |
暫間軟質義歯裏装材を動的印象材として使用する際,その寸法精度および義歯床下に適用した場合の負担圧の変化に対する粉末粒径,および溶液のEtOH含有量が及ぼす影響を検討するため,暫間軟質義歯裏装材の経時的寸法変化,重量変化,EtOHおよびBPBGの溶出を測定し,さらにシミュレーション模型上で,歯肉頬移行部と歯槽頂部における経時的な負担圧分布変化を測定し,以下の結果を得た。 1.暫間軟質義歯裏装材には経時的な寸法が認められた。その要因としてゲル化に伴う収縮と流動が関与しいてた。 2.暫間軟質義歯裏装材の重量変化からみた吸水性はごくわずかであり,寸法変化にはほとんど影響を及ぼさなかった。 3.粒径が小さいほど,また溶液のEtOH含有量が多いほど暫間軟質義歯裏装材のゲル化に伴う収縮は大きくなり,EtOH溶出量も多くなった。BPBG溶出量はEtOH溶出量の1/100以下であり,粉末粒径およびEtOH含有量の影響はほとんど認められなかった。 4.負担圧の経時的変化は歯槽頂部では小さかったが,歯肉頬移行部では条件により変化に幅があった。また負担圧は顎堤が高いほど歯槽頂部では大きく,歯肉頬移行部では小さくなった。 5.溶液のEtOH含有量が多いほど歯肉頬移行部における負担圧減少は著明となり,その変化も早期から認められた。また粉末粒径が小さいほど歯肉頬移行部における負担圧減少傾向は大きくなった。 6.EtOHを含まない溶液を使用した試料では,歯肉頬移行部における負担圧の経時的変化は認められなかった。また粉末粒径は負担圧変化に影響を及ぼさなかった。
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