研究概要 |
金属材料とBMP(Bone Morphogenetic Protein:骨形成因子)の複合材料を開発するため、生体親和性が良好とされている純チタンとBMPの複合化を行ない、その骨形成能ならびに、組織親和性を調べた。複合化に際しては、10%ゼラチン溶液をキャリア-として用いてBMP5mgを懸濁した。純チタンには表面吸着性を考慮してスポンジチタンを使用し、表面に上記のゼラチン懸濁BMPを吸着し、凍結乾燥を行なって複合化した。この複合体をddyマウスに移植したところ、BMP単独の移植よりやや骨形成能の低下が認められたが、周囲組織との親和性は良好であり、新生骨が純チタンの表面に直接接して形成されていることが光学的顕微鏡所見、ならびにCMA(Colour Map Analysis)から証明された。以上の結果から、純チタンと骨形成因子の複合体は能動的に骨を形成する移植材料として用いることが可能であることが判明したが、わずかではあるがチタンに新生骨の形成阻害が認められることから、金属イオンの骨阻害性について詳細に検討する必要性が生じた。このため、粉体状高純度金属(Ag,Al,Au,Co,Cu,Fe,Ge,In,Mn,Mo,Pd,Sb,Sn,Ta,Ti,W,Zn)の骨形成に対する影響を検討した。各金属試料20mgに対して5mgのBMPを混合して、移植を行なった。この結果、いずれの金属にも骨形成阻害が認められたが、Ag,Au,Ge,In,Mn,Mo,Pd,Sn,Ta,Ti,W等では比較的阻害の程度は低く、一方Cu,Fe,Mn,Sb,Zn等では骨形成が全く認められず骨形成の阻害が極めて大きいことが判明した。今年度は定性実験を行なったが既に定量用の装置の開発を終了しており、現在、各試料金属の体積を一定として定量実験を継続中である。
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