研究課題/領域番号 |
02670887
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高橋 喜久雄 千葉大学, 医学部・医科口腔外科, 助手 (00206799)
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研究分担者 |
金沢 春幸 千葉大学, 医学部・歯科口腔外科, 講師 (80169549)
佐藤 研一 千葉大学, 医学部・歯科口腔外科, 教授 (40009139)
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キーワード | 骨肉腫 / 培養細胞 / アルカリフォスファタ-ゼ / 副甲状腺キルモン / コラゲナ-ゼ / 肺転移 |
研究概要 |
本年度における研究から以下の結果を得た。 (1)9種のクロ-ン細胞のアルカリフォスファタ-ゼ活性はMSK母細胞の16%から308%であり著しい差がみられた。これらは各クロ-ン細胞のハイドロキシプロリン量や、PTHに対する反応性と相関が認められなかった。しかし、各々の細胞株をラットへ再移植した場合、形成された骨肉種の肺転移の確率と細胞の持つ酵素活性の強弱は相関すると考えられた。すなわち、高いアルカリフォスファタ-ゼ活性を持ったクロ-ン細胞はラット肺に高率に転移腫瘍の形成が認められ、逆に低アルカリフォスファタ-ゼ活性株は転移が認められなかった。 (2)in vitroにおいて形成されたハイドロキシプロリン量も各クロ-ン間で格差がみられたが、これらは細胞株の飽和細胞密度と相関した。 (3)PTHに対する反応性をcyclic AMPで測定すると9つのクロ-ンは全て母細胞株MSKより高く、最も反応性のある亜株でMSK細胞の7倍の上昇を認めた。興味あることに高反応性の亜株はラットに対するin vivo移植において豊富な軟骨を含む骨肉腫を再形成した。従来からPTHの標的細胞は骨芽細胞と考えられていたが、我々の実験結果から軟骨形成に関与する細胞が高いPTH反応性を有している可能性が示唆された。 (4)9つの亜株のうち数株について細胞が培養液中に放出するコラゲナ-ゼを測定した。またこれらの亜株において、各々の細胞をトリプシン単離してラット肝超薄生切片に播種し細胞の組織接着性を検討した。その結果コラゲナ-ゼ活性が高い細胞株は肝切片への接着性が高かった。また同時に酵素活性の高い細胞株はラットに対する移植で高率に肺転移が認められた。これらのことからコラゲナ-ゼは少なくとも我々のラット骨肉腫細胞群においては遠隔転移、あるいは組織接着に関連があると考えられた。
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