研究概要 |
1.画像処理系の整備 画像処理用電算機にRAMボ-ドと光磁気ディスクを増設して、画像処理速度の高速化と大量の画像デ-タの保存を可能とした。また骨陰影を消去するためのデュアルエネルギ-差分法のソフトウェアを作成した。処理時間は、画像入力も含めて約10分であった。 2.撮影条件最適化のためのシミュレ-ション 種々のX線フィルタ、増感紙の組合せによるデュアルエネルギ-差分画像の画像形成過程のシミュレ-ションを行ない、造影像コントラスト,患者被曝線量,管球負荷を推定した。この結果、X線フィルタにガドリニウムないしタングステンを用い、管電圧を70〜100kvとし、管球側増感紙に低感度希土類増感紙,カセッテ内フィルタに錫箔,後側増感紙に高感度タングステン酸力カルシウム増感紙を使うと比較的低い患者被曝線量と管球負荷で,高い造影像コントラストの画像が得られる事が判明した。また、ヨ-ド造影剤を用いたデュアルエネルギ-差分像では、ヨ-ドと骨の吸収係数のエネルギ-依存性が類似しているため、骨陰影の消去に伴ない、造影像コントラストも著しく低下している事が判明した。 3.ファントム実験 直径0、25mmから1、25mmのポリエチレン管に造影剤を満し、緻密骨ファントムの楔(最大厚26mm)を重ねて深さ16cmの水槽に沈めて1回撮影によるデュアルエネルギ-差分法撮影を行なった。得られた画像では、0、5mm以上の造影像が観察できた。しかし、骨の厚さによって同じ太さの造影像コントラストが変化する事,ノイズによる著しい画質劣化が認められた。今後ソフトウェアを改良し、これ等の影響を低減させる画像処理方法を検討する。
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