研究概要 |
1.デュアルエネルギ-差分像の造影像コントラストとノイズについて 本法によって骨陰影を消法した画像の造影像コントラストとノイズを分析した。骨陰影の消去に伴ない、造影像のコントラストは著しく低下した。これは、ヨ-ドのX線減弱係数のエネルギ-依存性が骨のそれに近い為である事が、理論的に証明された。また、ノイズはサブトラクシヨン処理に依って増加する。特に後側の高感度フィルム増感紙系のRMS粒状性が3倍ないし4倍に増幅される事が明らかとなった。総合的には,S/N比が2倍となるヨ-ドの厚さは、至適な撮影条件でも、30mg/cm^2であった。これは、ヨ-ド濃度300mg/mlの造影剤が直径1mmの導管を満している状態に相当し、造影像の検出能はエネルギ-差分処理に依って却って低下する事となった。 2.改善策の検討 骨陰影を完全に消去しなくとも造影像の観察は可能であった。適度に骨陰影のコントラストを圧縮した状態にすると、比較的観察し易い画像が得られた。至適な骨陰影コントラストの圧縮率の決定方法については今後の課題としたい。 また、ヨ-ドのK吸収端両側のエネルギ-のX線に依る画像によってサブトラクションを行なう、いわゆるK吸収端サブトラクションの応用についても検討を加えた。ヨ-ドのK吸収端エネルギ-は33.2kevである。この前後のエネルギ-のX線は透過性が低く、十分な画質のX線像を得るためには、100mGy近くの被曝を患者に与える事になり、特殊な診断目的でしか、適応が正当化出来ない。ヨ-ドよりもK吸収端エネルギ-が高い造影剤があれば、実用化可能であるという見通しを立てた。
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