1.画像処理系の整備 画像処理用電算機に大容量記憶装置を増設し、処理の高速化と大容量画像デ-タの保存を可能とした。骨陰影消去のソフトウェアを作成し、約10分間で画像の入力も含めた処理を可能とした。 2.撮影条件最適化のシミュレ-ション 電算機シミュレ-ションに依り、X線フィルタにGd乃至Wを用い、増感紙にはGd_2O_2SとCaWO_4を使い、カセッテ内フィルタにCu/Snを用いるとヨ-ドコントラストが最大となる差分像が得られる事が示された。 3.ファントム実験 ポリエチレン管に造影剤を満し、緻密骨ファントムの楔を重ねて水槽に沈めて本法で撮影した。結果の画像では、直径0.5mm以上の造影剤管を識別できた。しかし、差分処理に依る造影像コントラストの低下と、ノイズの増大は著しく、画質は原画像よりも劣っていた。 4.理論的考察 造影像コントラストの低下は、骨とヨ-ドの減弱係数のエネルギ-依存性の違いが僅かである為に生じる事が理論的に証明された。また、ノイズの増大はフィルム増感紙系の粒状性が統計的に加算される為に生じる事、特に粒状性の大きな高感度増感紙に依って得る高エネルギ-画像のノイズは、差分像には4〜5倍に拡大して伝播する事が明らかとなった。従って唾液腺造影像の画質向上には、本法の応用は不適当であると証明された。
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