研究課題/領域番号 |
02670891
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
長峯 岳司 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (20126436)
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研究分担者 |
鈴木 一郎 新潟大学, 歯学部, 助手 (80179192)
中島 民雄 新潟大学, 歯学部, 教授 (10014010)
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キーワード | αーTCP / 骨 / デキストラン / ハイドロキシアパタイト / グルタ-ル酸 |
研究概要 |
α型の燐酸三カルシウム(αーTCP)粉末は水との反応により、ハイドロキシアパタイト(HA)に転化し、常温で凝結硬化する事が知られている。この反応は酸の存在により促進するが、この凝結硬化のみでは硬化物は脆弱で人工骨としては利用し難い。私達は、この反応系に多糖体(デキストラン)を加える事により人工骨として十分な強度の硬化物を得るのに成功した。本材料はこの硬化の過程で形態付与が可能となり、付形成に優れているため、組織親和性も優れていれば臨床的な応用範囲はかなり広いものと考えられる。本研究では、この硬化物の組織反応について観察するとともにHA顆粒との複合剤としての利用も検討した。 蒸留水とグルタ-ル酸とデキストランを14:6:25の比率で混合し、これを多糖溶液とする。αーTCP粉末とこの多糖溶液を7:5の比率で混合し練和すると、2〜5分で硬く硬化する。この硬化の過程で形成を行う(TCPインプラント)。これを家兎の下顎骨外側の骨膜下に移植し1、2、4、12、24週後に屠殺し下顎骨を摘出、HE染色にて組織学的に生体反応を観察した。さらにこの材料とHA顆粒の複合材を家兎に同様に移植し、同様に組織反応を観察した(TCPーHAインプラント)。 両者で活発な骨新生が観察され、グルタ-ル酸やデキストランによる阻害は殆ど観察されなかった。 この材料は、人工骨として十分な強度を持ち、硬化の過程で形態付与が不能となり付形成に優れ、また本実験にて生体親和性も優れていることが観察され、いままで再建術等で用いられていたHA顆粒の欠点を補うものとして有用である事が確認された。
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