研究課題/領域番号 |
02670896
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 憲 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (20127301)
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研究分担者 |
大西 徹郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員
中澤 光博 大阪大学, 歯学部附属病院, 助手 (70217701)
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キーワード | モルヒネの作用機序 / カルシウムチャネル / カリウムチャネル / カルシウム拮抗剤 / 培養神経芽細胞腫細胞 |
研究概要 |
平成3年度はヒト培養神経芽細胞腫細胞を用いた細胞内カルシウム濃度測定実験を中心にしてモルヒネの作用機序の検討を行なった。モルヒネは神経細胞内へのカルシウムの流入を抑制して神経伝達物質の放出抑制をおこすと考えられるため、細胞刺激に続く細胞内カルシウムの上昇に対してモルヒネがどの様な作用を示すかを検討した。実験には浜松ホトニクスARGUSー50システムを使用した。培養神経芽細胞腫細胞SHーSY5Yにカルシウム顕示薬であるFuraー2を負荷させた後、チャンバ-内で37℃の人工脳脊髄液で潅流しながら種々の薬剤を添加し単一細胞内のカルシウム濃度の変化を経時的に測定した。細胞刺激にはムスカリン受容体に結合して細胞応答を起こすカルバコ-ル(CCh)と高カリウム刺激を主に使用した。その結果、定常状態ではこの細胞の細胞内カルシウム濃度は約100nMでありCCh刺激はこの濃度を約3倍に上昇させた。1ー100μMのモルヒネはCCh刺激による細胞内カルシウム濃度の上昇を濃度依存的に抑制した。またL型カルシウムチャネル拮抗剤であるニフェジピンもカルシウム濃度の上昇を抑制したがN型カルシウムチャネルの拮抗剤であるωーコノトキシンは作用を示さなかったことからこの細胞のカルシウムチャネルはL型が優位であることが解った。一方高カリウム刺激に対してニフェジピンはCCh刺激と同様な作用を発現したがモルヒネは作用を示さなかった。また選択的にカリウムチャネルを遮断するテトラエチルアンモニウムで前処置しておくとモルヒネは作用を発現しなかった。以上のことからモルヒネはカリウムチャネルを介してカルシウムチャネルに作用しカルシウム流入を抑制し作用を発現することが示唆された。
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