研究概要 |
ヒト神経芽腫細胞(IMRー32)を用いてin vitroにおける単純ヘルプスウイルス2型(HSVー2)の潜伏感染モデルを調製し、癌治療剤として現在臨床試験が行なれている分化誘導剤であるHexamethylene bisacetamide(HMBA)のHSVー2潜状感染系でのウイルス再活性化に及ぼす影響を解析し、以上に述べる研究結果を得た。1.IMRー32細胞にHSVー2を感染多重度0.1で感染させ、14日間40℃で培養するとin vitroにおけるHSVー2潜状感染系が確立した。培養温度を40℃から37℃に降下させると、ウイルスの再活性化が2日後に出現した。培養温度を37℃に降下させた時、5mM HMBAを含む増殖培養液でHSVー2潜状感染IMRー32細胞を37℃で更に培養を継続すると、HSBー2の再活性化率は未処理対照に比較して有意に上昇した。加えて、HMBA存在下で培養したHSVー2潜状感染IMRー32細胞のDNA methylationレベルは、未処理対照に比較して有意に低下していることが、二次元薄層クロマトグラフィ-を用いたメチルシトシンの測定及び制限酵素(HpaIIとMspI)を用いたDNA切断パタ-ンのデンシトメ-タ-を用いた解析により、明らかになった。一方、0.5μg/mlのシクロスポリンAの存在下でHSVー2潜状感染IMRー32細胞を37℃で培養した時、HSBー2再活性化率の有意の低下が認められた。2.上記のin vitroにおけるHSVー2潜状感染モデルでの、HMBAのウィルス再活性の促進活性に及ぼすアシクロビル及びヒトインタ-フェロン(hIFN)ーα,β,γによる影響を解析した。培養温度を40℃から37℃に降下させた時、5mM HMBAと種々な濃度のアシクロビル或いはhIFNーα,βγとを含む増殖培養液に交換し37℃にて更に培養を継続した。その結果、6、5μMアシクロビル、25単位/mlのhIFNーα,β及び100単位/mlのhIFNーγにて有意にHMBAのHSVー2再活性化の促進作用の抑制れることが明らかになった。
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