我々は昭和63年5月以来、CTスキャナに組み込まれた3D(3次元画像)ソフトを中心に、顎口腔領域の3D像を構成し、観察を行ってきた。 平成2年度においては、3D像構成上、特に顎関節部の検査に関して頭部固定方法の重要性を見出し、撮影補助装置の改良に力点を置き、実験用代用骨(商品名タフボ-ン)と臨床例を被写体として、顎関節部硬組織3D像の処理条件を検討し、その結果を第31回日本歯科放流線学会に報告した。 平成3年度は、前年度の知見を踏まえ、代用骨・乾燥頭蓋骨と顎骨疾患摘出物の3D像を対比検討して、画像処理条件を子細に検討した。 その結果、下顎骨体部に関しては、細皮質・歯牙のCT値が極めて高いために、また形態的な差異も影響して、顎関節とはかなり条件が違うことを知った。処理条件のみならず、スキャン条件、特にスライス厚が異なれば、3D像の表示効果に大きな影響を及ぼすこともわかった。 今年度は、3D画像用ソフトに一部改良が加わり、一旦構成された3D像から、観察に不要又は障害となる部分を切りとるカッティングという機能が加わったので、この手法に基づいて、主として顎骨内嚢胞性疾患を対象に、3D画像上で手術のシミュレ-ションが試みられ、手術結果を予想することも出来る様になったので、その結果は第32回日本歯科放射線学会に報告された。 病巣の大きさの計測と共に、この面でも新機軸を開きたいと考えて、さらに研究をすすめている。
|