歯周ポケット内の歯周疾患病原細菌は、大部分嫌気性細菌である。本研究の目的は、嫌気条件下にある歯周ポケット内にoxygenを人為的に送り込み、歯周ポケットの嫌気性細菌叢を好気性細菌叢に置換させようとするものであった。これまでに我々が試作したlocal oxygen delivery systemは、基本的に2種類である。一つは、トレ-法により個人口腔に適合したトレ-を作製し、それによってoxygenを歯周ポケット内に挿入しようとするものであり、もう一つは、口腔洗口装置に類似したノズルを用いて、歯周ポケット内にoxygenを挿入しようとするものであった。これらの装置は一長一短あり、一つ目のものは、装置が複雑で、oxygenのderiveryが歯周ポケット内に直達しているかどうか、不十分と思われた。二つ目のものはoxygenの導入そのものは容易ではあるが、装作が熟練を要し、なおかつ、oxygenの供給が一時的にならざるを得ないという欠点を有していた。一方歯周ポケット内の歯周疾患病原細菌叢は、きわめて複雑であり、そのoxygen耐性、金属イオンへの反応、表層荷電の状態、酵素活性等についてもそれぞれ、対応が異なっている。我々は、成人性歯周炎の病原性細菌として最も注目されている Bacteroides gingivalisについて、そのalkaline phosphatase活性、菌体表層の荷状態等についても、研究を進め、別紙業積リストにみられる様な成果をおさめることができた。Local oxygen delivery systemに関するこの一年間での我々の研究成果は、十分とはいえないが、今後更に、より臨床応用可能なsystemの開発が行える様努力するつもりである。
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