顎機能異常に対する経年的疫学調査および臨床調査を中心とした矯正学的研究

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02670930
• 研究機関: 東京歯科大学
• 研究代表者: 茂木 悦子 東京歯科大学, 矯正学教室, 助手 (50147253)
• 研究分担者: 宮崎 晴代 東京歯科大学, 矯正学教室, 助手 (30174163)
• キーワード: 顎機能異常 / 矯正治療 / 経年的疫学調査 / 経年的臨床調査 / 下顎位表示装置 / 三次元的画像処理

研究概要

既に我々は若年者(小学、中学、高校生)の顎機能異常に関する疫学調査を行なったが、今回ほぼ同様の調査方法で成人男女(本学学生509名、平均年齢22歳)を対象として調査を行った結果、39.9%と若年者と比較して高い発現率であった。矯正治療経験者は全対象者の17.7%みられ、この内の発現率は48.9%と高く、咬合括では開咬に62.5%なられ、不正咬合や矯正治療と顎機能異常との関連が示唆されること結果となった('90日矯学会発表)。これに対し矯正治療が顎機能異常の治療に一端を担うのではないかという考えの基に顎関節症患者に対し矯正治療を行い良好な結果を得た('90顎関節学会発表)。今後は両面からの検討が一層必要と思われた。
一方我々、下顎位表示装置であるMandibular Positioning Indicator(MPI)のデ-タをコンピュ-タ-画像処理して三次元的に下顎位を観察するプログラムソフトを開発したが、今回、個人デ-タの充実、デ-タ入力と画像作成プログラムの分離による入力操作の簡素化、図形作成時間の短縮、ウィンドゥ機能の付与、デ-タベ-スソフトの導入、などの改良を施した。これを用い、いわゆる成人正常咬合(30名)についてのMPIデ-タを検討した結果、前後的偏位置、上下的偏位置とも1mm以内であり、左右的偏位量は0.3mm以内であった。これらはコントロ-ルデ-タとして他の咬合を観察する際の基本となるのと考えられた('90顎関節学会、日矯学会、東歯学会発表)。以後プログラムのバ-ジョンアップと各不正咬合別のデ-タ採取を予定している。

研究成果

• [文献書誌] 茂木 悦子、宮崎 晴代 他: "顎機能異常についての矯正学的研究 ー第1報 小学、中学、高校生の疫学調査ー" 日本矯正歯科学会雑誌. 47. 579-589 (1988)
• [文献書誌] 宮崎 晴代、茂木 悦子 他: "顎機能異常についての矯正学的研究 ー第2報 矯正患者においての臨床調査ー" 日本矯正歯科学会雑誌. 47. 590-600 (1988)
• [文献書誌] 飯島 なおみ、茂木 悦子 他: "矯正治療による混合歯列期反対咬合者下顎頭位の経年的観察" 日本矯正歯科学会雑誌. 49. 311-321 (1990)
• [文献書誌] 茂木 悦子: "成長期における矯正治療 ー早期治療と顎機能異常ー" BSC会誌. 4. 5-19 (1990)
• [文献書誌] E.Motegi、H.Miyazaki et.al.: "An orthodontic study of temporomandibular Joint dysfunction ーPont1 Epidemiolgical study temporormandibular joint dysfunction and malocclusion Pont2 Clinical research in orthodontic paticnts in Japanese 6ー18 yearsolds." American Journal of orthodontics and Dentofacial orthopedics. (1991)
• [文献書誌] 和田 昌久、茂木 悦子 他: "顎関節症の矯正治療 ー業生、レシプロカルクリックを有するー症例についてー" 顎関節学会雑誌. (1991)
• [文献書誌] 梶山 晃、茂木 悦子、宮崎 晴代 他: "咬合器を用いた下顎位の記録と表示ー1.いわゆる正常咬合者についてー" 日本矯正歯科学会雑誌. (1991)
• [文献書誌] 茂木 悦子: "デンタルダイヤモンド社" 診療のエアポケットの内 矯正治療における成長発育への考慮ー上顎前突症例についてー, (1991)