わが国では、1歳6カ月児、3歳児、児童生徒などを対象として、歯科健康診断が実施されている。この研究では、歯科健康診断の実施方法と、歯科健康診断受診者のその後の歯科行動の変化について調査し、両者の結果から、歯科健康診断の問題点について検討した。この結果は、以下のようである。 1.1歳6か月児、3歳児、児童生徒に対する歯科健康診断は、すべての地域で行われており、健康診断の受診率も80〜98%である。しかし、妊婦と成人に対する歯科健康診断は、実施率が25%以下で受診率も大変低い。 2.歯科健康診断を受診した後、幼児ではその80%以上に歯科行動の改善がみられる。しかし、児童生徒と成人では改善がみられたのは50%以下であった。 3.今後の歯科健康診断は、受診者の歯科保健向上のため、健康診断時には口腔診査と並行して個別に歯科保健指導を行い、また、前回まで指導の効果を評価する方法を取りいれる。また、妊婦と成人に対する歯科歯科健康診断は、地域により診査方法が異なり、歯肉には十分な診査が行われていないが、今後は健康診断の目的、診査基準、評価方法を対象者に明確にし、理解を得て実施する。 4.今後は、生涯を通じた歯科健康管理ができるように、それぞれの歯科健康診断の結果と指導内容が一覧できる歯の健康手帳を作成するとよい。
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