研究概要 |
Corticotomyに関しては従来,臨床的に種々の方法が報告されている.われわれは数年来,Corticotomyを併用した顎整形力を用い,上顎骨全体の前方移動および後方移動についてその方法や作用機序について研究を重ねてきた. 今回は上顎前突を想定した上顎骨の後方移動において上顎前方部のみにCorticotomyを施し,手術方法の違いによる効果の差について検討した. メスニホンザルを用い,対照群と実験群とし,対照群は4〓4抜歯を行ない,Headgearを装着した.実験群は4〓4抜歯を行ない同時に上顎前方歯槽部にCorticotomyを施し,対照群と同様Headgearを装着した.実験終了後,組織学的検索として頬骨上顎,側頭頬骨,前頭頬骨の各縫合部を顎骨より切り出し購入した振とう器セット・レシプロシェ-カ-SRー1を用い,ギ酸ホルマリンにて脱灰した.その後通法に従いセロイジン包埋後,購入した大型滑走式ミクロト-ムにて薄切りし,HーE染色後,光学顕微鏡にて検鏡した. その結果,対照群における3つの縫合部は構成する繊維性結合組織の機能的な配列の乱れおよび組織成分の増加,縫合部の間隙拡大などの著明な変化は認められるが,実験群では弱い変化であった. また,両群とも3つの縫合部において組織学的変化は側頭頬骨,前頭頬骨,頬骨上顎縫合の順で著しかった. 尚,本研究については平成2年10月4日,第49回日本矯正歯科学会大会において報告した.
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