研究概要 |
乳歯反対咬合には永久歯列期の反対咬合の前駆症状であることが多く,成長とともに増悪するため重要な問題を包含している。 本年度は乳歯反対咬合者の側方セファログラムを用いて,数多くの形態計測項目より,主成分分析を応用して反対咬合の形成に寄与する度合の強い項目を抽出した。すなはち歯牙年齢IIA期の女子80名の側方セファログラムより距離計測項目を対象に,1.相関行列より主成分分析した結果9項目(Ptm'ーms、A'ーms,isーis'、moーms、Gnーcd、Pog'ーGo、CdーGo、iiーii'、moーmi)を選択した。2.各主成分に強く影響する項目は以下のごとくである。第1主成分:Size factor。特にGnーCd、iiーii'が関与。寄与率40.6%。第2主成分:上顎第二乳臼歯の前方と後方とが対比する主成分。特にA'ーms(+),Ptm'ーms(ー)が関与。寄与率19.4%。第3主成分:下顎枝と下顎体部の第二乳氷臼歯の高さとが対比する主成分。特にCdーGo(+),moーmi(ー)が関与。寄与率12.3%。第4主成分:下顎枝の高さと下顎体部の長さとが対比する主成分。特にCdーGo(+),Pog'ーGo(ー)が関与。寄与率10.0%。以上の第4主成分までの累積寄与率が82.3%であった。3.主成分得点を用いたダイヤグラムより歯牙年齢IIA期において,すでに歯牙年齢IIIA期の咬合状態が71.8%予想できた。 今後はセファログラムの角度計測より同様な方法を用いて分析を行い咬合状態の予測の精度を向上させる予定である。 また,機能面でのデ-タの収集では適応患者が近年矯正歯科に来院する数の減少により,予定数に達していない状況にある。今後更に努力が必要と考えられる。
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