新しい光親和性標識試薬により、NA^+チャンネルの化学構造と機能相関の解析をさらに進めるため、最終年度に当たる今年度は、新しい光反応基の関発を続ける一方で、実際の光親和性標識を追及するため、これに有効な放射性標識ジアジリンの合成と、これを組み込んだ光ラベル試薬を合成しNa^+チャンネルの光ラベルを検討した。 1、新規光反応基の開発、(1)反応性が高いカルベンの前駆体として、タリウム化を経てラベル部位解析に必要な種々の官能基が導入できる点で有利な、フェノキシジアジリンの芳香族置換反応を前年度に続は検討した。この結果、タリウム化に続くパラジウム触媒カルボニレ-ションにより、安息香酸型のメトキシ又はヒドロキシ置換アリ-ルジアジリンを種々合成できた。これにより、光ラベル用ジアジリンの供給は格段に改善された(2)前年度合成したニトロフェノキシジアジリンについては、これを放射活性型とするため、炭素14標識ブロム酢酸エステルと反応させ目的ジアジリンとした。 2、Na^+チャンネル特異的光ラベル試薬の合成と、Na^+チャンネルの光ラベル、(1)前年度、光ラベル試薬として有望であった光反応性μーコノトキシン誘導体に放射性標識を行なうため、前述の炭素14ニトロフェノキシジアジリンをμーコノトキシンGIIIAに導入した。(2)この試薬を用い、電気ウナギNa^+チャンネルを用いて実際のラベルを行なった。この結果、ラベルはチャンネル蛋白質に特異的に進行し、合成した放射性標識μーコノトキシン誘導体は、光親和性標識試薬として有用であることが確認された。 光ラベル試薬を合成する段階で、補助金により購入した高速液体クロマトグラフ-式は、生成物の精製、分取に不可欠であり、研究遂行上極めて有効であった。
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