研究概要 |
1.MTPA(1a)に代わる新規光学純度決定試薬として分子設計した構造2ー5の代表的な三種の誘導体2bーdー5bーdのうち、2bーdと5bーdの合成に成功した。それらの ^<19>F NMRにおけるジアステレオマ-間の化学シフト差(△δ)を測定したところ、CFPA誘導体5bーdの△δ値はMTPA誘導体1bーdのそれよりも数倍も大きくなることが分かった。そこで、光学活性CFPA(5a)の合成ル-トを検討した。 2.ベンゾイルぎ酸とR(+)ーαーフェネチルアミンとの縮合で得られるアミド体に、前報の方法にしたがってシアノ化およびフッ素化を施して、光学活性ジアステレオマ-混合物5d_M,5d_Iを得た。分別再結晶により両者を分離し、それぞれを個別にニトロソ化した後熱分解することにより、(+)ーCFPA(5a)および(-)ーCFPA(5a)を得た。更に、常法を用いて対応する塩化物(+)ーCFPAーCl(5e)および(-)ーCFPAーCl(5e)へと誘導した。 3.CFPAーCl(5e)と各種アルコ-ルおよびアミン類との縮合で得られるジアステレオマ-の△δ値を測定したところ、それらの値は対応するMTPA誘導体のそれよりも格段に大きくなることが分かり、そのためCFPA法は、不斉中心が反応点から2ー4結合離れた化合物に対しても適用可能なことが判明した。更に、幾つかの天然物合成の中間体に本法を適用したところ、MTPA法を遥かに凌ぐ好結果が得られた。
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