研究概要 |
申請者は独自の物業仮説に基き、植物の成長をコントロ-ルして、米やりんごなどの食糧生産高をあげる効果のある化合物として、4位および2位置換インド-ル化合物群をデザインし、目的通りの薬理作用を持つ2,3の化合物を創造してきた。しかし、従来法によるこれら化合物の合成は極めて困難であった。今回我々は、合目的的であると同時に、簡単かつ独創的なこれら化合物の合成法を開拓することに成功した。本法を適用することにより、現在種々の誘導体合成を行なっている。 また我々はパ-キンソン病治療に役立つ可能性を持つKSU1415(1)の開拓にも成功しており、さらに幅広く多様な誘導体群を合成し得る道を確立するために、麦角アルカロイドの一種で未だ全合成されていないchanoclavineーI acid(2)の全合成に挑戦し、我々の提唱する共通全合成という概念に基いた効率良い合成法を見出すことに成功した。 さらに、インド-ル骨格中に位置選択的に官能基を導入するという難題にも挑戦し、1位に水酸基を持つ化合物群(3)の、合成法の発見に成功した。これらの化合物のAmesテストでは、変異原性を持たないことがわかり、新規なリ-ド化合物群となることは明らかである。上記の合成法を用いて、今後さらに種々の誘導体を合成し、それら化合物に特徴的な反応性や薬理作用の検討を行なっていく予定である。 尚、1位に水酸基を持つインド-ルの化学は、世界広しといえども、我々以外は行なっていない。模倣でない、真に独創的な研究領域の扉を開くことができた。
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