研究概要 |
(+)ーAsperlin(12)は抗腫瘍活性を示す抗生物質で、その絶対構造は(5S,6S,7S,8R)である。著者らは酒石酸を不斉源とする、(+)ー(12)を含めた6位置換5ーhydroxyー5,6ーdihydroー2ーpyrone類の一般的合成法の確立を目指して(+)ー(12)の全合成を検討した。昨年度の研究成果を踏まえ、今年度では、(S,S)ー(-)ー酒石酸エステル(1)を出発原料として(+)ー(12)の全合成に成功した。即ち、反応系中で生成するアルデヒド(6)をMeLiで処理し立体選択的にアルコ-ル(7a)を合成した。(7b)としてX線結晶解析を行い構造を確認した。次いで、MeOH中Amberlyst50により開環し(8a)に誘導し、適当な段階でTBDMSアセタ-ル(9)へ変換後、エポキシド(10)に誘導した。引続き不飽和ラクトン(11)を経て最後に5位を光延法で反転し(+)ー(12)へ誘導した。 Dーマンニト-ル(13)を不斉合成試薬へ誘導する目的で以下のような変換を行ない、C_2対称不斉ピロリジン類を短段階で合成した。即ち、(13)のdiー0ーbenzylidene体(14a)をdiー0ーmesylate(14b)とし、(14b)をPhCH_2NH_2で閉環し高収率でC_2対称不斉ピロリジンアセタ-ル(15a)を合成した。(15a)からNー2ーhydroxyethyl誘導体及びD_2対称体を含む各種のピロリジン体(15b)、(16a,b)、(17)を合成した。これらのピロリジンを配位子としてbenzaldehydeのEt_2Znによる不斉エチル化を検討し、不斉収率82%を達成した。
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