研究概要 |
研究代表者がカンファーから合成したカンファー1,2,3ートリアジンは極めて強力な中枢興奮作用を有し、中枢の薬理試験に繁用されるペンテトラゾ-ルの10倍の強さを示すとともに両化合物にはC_6ーN_3からなる共通の基本構造が存在し、しかもこれらのコンフォメ-ションがほとんど同じであることを見出した。そこでこのコンフォメ-ションが作用発現の活性コンフォメ-ションではないかと考え、C_6ーN_3の基本構造を持つ異性体カンファー1,2,4ートリアジンを合成し、これに含室素複素環を縮合することでC_6ーN_3構造をさらにヘテロ原子で延長したヘテロ化合物を作り、それらの中枢作用と構造との相関について研究した。 まずカンファキノンとチオセミカルバチドとの縮合でカンファー1,2,4ートリアジンを合成した後3位メルカプト基をヒトラジノ基に変換した。ヒドラジノ基は含窒素ヘテロ環構築の重要なビルデイングブロックであり、各種の親電子剤と縮合させて新規縮合ヘテロ環を構築した。すなわち亜硝酸ソ-ダとの反応でテトラゾ-ル環とまたシクロヘキサンジオンとの反応で1,2,4ートリアジン環を構築した。一方その他の試薬との縮合で3位に置換基を有する1,2,4ートリアゾロカンファー1,2,4ートリアジン類も合成した。 これらの化合物の中枢作用をマウスを使って測定したところ、3ーヒドラジノカンファー1,2,4ートリアジンにペンテトラゾ-ルを上回る強い作用が観察された。またテトラゾ-ルや1,2,4ートリアゾ-ルが縮合したカンファー1,2,4ートリアジンにも強い作用が認められたが、1,2,4ートリアジンの3位に置換基を導入すると作用が全く消失することが分った。 これらの結果から、基本構造をC_6ーN_3ーN_2まで延長しても中枢作用が持続されることが判明し、今後の構造活性相関解明の重要な手がかりを得たことになる。
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