研究概要 |
昨年度の本研究において開発した、カルボンより誘導容易な応用性の高いキラル合成素子(1)原料として、さらに新規に開発したγ,δー不飽和ジアゾケトン(2)の分子内付加反応を基反応に使用しシクロヘキセノン(3)を立体選択的に合成した。化合物(3)の二重結合を酸化的開裂後、得られるア【chemical formula】ルデヒド(4)よりラクトン(5)とし、さらに脱水反応等を行うことによってネコの興奮物質として知られるネオネペタラクトンの対掌体(6)を合成することが出来た。原料(1)の対掌体の合成も容易であることから、本法は天然物合成をも意味していることになる。一方昨年度に達成した1βーメチルカルバペネムの重要中間体合成においては最終工程で1位メチル基の異性化を伴うことが判明したいたのでその改良合成を検討した。すなわち化合物(7)より数工程でアミノ体(8)へ導き、エノン部の酸化的開裂によ【chemical formula】りジエステル(9)とし、イソプロペニル基の化学修飾及び閉環によりラクトン(10)を合成した。ラクトン(10)はβーラクタム(11)に1位メチル基の異性化なしに変換出来ることが報告されており、ここにその立体選択的キラル合成が完成した。
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