研究概要 |
ポリエンマクロライド抗生物質は化学療法の立ち遅れている真菌症に極めて有効であるが,この分野の合成研究はほとんど進展していない.前年度にペンタマイシン(1)のポリオ-ル部2の合成に成功しており,今年度はポリエン部の導入と閉環反応を検討した.なお,ペンタマイシン(1)のCー26,27位の立体配置は記載上の誤りがあり,図のように訂正された.即ち,TriーOーacetyl Dーglucalより合成した構造確実なジアセテ-ト3と天然物より誘導した3'が^1HーNMR,旋光度ともに一致したことから決定した. ポリオ-ル部にWittigーHorner試薬によるジエン導入を繰り返し,ポリエン部を導入しセコ酸に相当する化合物4,5の合成に成功した.しかし,その閉環に関してはいまだ満足する結果を得ていない.Cー26,27位に関して非天然型の4と天然型の5について,いずれも山口法によるラクトン化を検討したが閉環に成功しなかった.Cー13位の保護基が閉環に適したコンホメ-ションをとるのを妨げている可能性があり,その脱保護後の閉環を検討する予定である.
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