研究概要 |
本研究は、立体異性体の相互分離に有利な高速液体クロマトグラフィ-(HPLC)ならびにガスクロマトグラフィ-(GC)と、トレ-サ-法に必須のマススペクトロメトリ-(MS)とを組み合わせ、胆汁酸生合成における立体化学を明らかにすることを目的とした。 まず、トレ-サとして用いる24位並びに25位に ^2Hを標識した3α,7α,12αーtrihydroxyー5βーcholestanー26ーoic acid(THCA)の調製を試みた。3α,7α,12αーTrihydroxyー5βーcholestー24ーenー26ーoic acid(△^<24>ーTHCA)をHPLCにて24E体および24Z体に分離後、前者をアゾジカルボン酸ナトリウム重酢酸を用いるジイミド(N_2 ^2H_2)還元に付した。ついで25位異性体をHPCLで分離し、目的とする(24R,25R)ー[24,25ー ^2H_2]および(24S,25S)ー[24,25ー ^2H_2]THCAを調製した。 ひきつづき、ラット肝ペルオキシソ-ムのアシルCoAオキシダ-ゼによる脱水素反応の立体化学に検討を加えた。調製した ^2H標識25Rおよび25SーTHCAをそれぞれsucrose、ATP、CoAおよび硫酸マグネシウム存在下軽ミトコンドリアあるいはペルオキシソ-ム画分とインキュベ-トした。ついで胆汁酸を液・液抽出し、ペンタフルオロベンジルエステル-トリメチルシリルエ-テルに誘導後、負イオン検出GC/MS分析に付し、生成する△^<24>ーTHCA中の ^2Hの保持率を測定した。その結果、いずれもproー24Rの水素が脱離しており、25R体ではsynーelimiーnationで、一方、25S体ではantiーeliminationで24、25位水素の脱離の進行することが判明した。このように25位異性体間で脱離機構の異なることは興味深い。
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