研究概要 |
1.Acyl-HSA結晶化 p-Nitrophenyl acetate及びcinnamoylimidazoleとHSAを反応させR-siteをアシル化した。副生成物のp-nitrophenolおよびimidazoleを透析(4℃)で除去し、次いでacyl-HSA溶液を凍結乾燥した。このacyl-HSAについて蒸気拡散法で次のような広範な条件で結晶化を試みた。pH(3-10)、温度(-20-40℃)、HSA濃度(150-200mg/ml)及び沈澱剤(polyethylene glycol(PEG)-400,PEG-1500,PEG-4000)の濃度(20-50%)。やはり0.2-0.3mmの小さい結晶が得られたのみであった。 2.HSAの薬物結合部位のキャラクタリゼーション HSAの酵素的活性を利用して薬物結合部位のキャラクタリゼーションを行うという、従来我々が開発した方法で詳細な検討を行い、X線構造解析の結果と対比させる。基質(S)としてnitrophenyl phosphinate類を用い、HSAとの反応性の解明及び反応活性部位の探索を行った。また本反応に対する各種薬物の影響を調べ、薬物結合部位との関係について考察した。その結果、基質のフェノール部分のpKaや疎水性の違いにより、活性に違いがみられた。活性のpH依存性からHSA中のヒスチジン残基が基質の分解に関与していることが分った。これらの基質に対しては活性部位が数ヶ所存在した。そのうち2つが比較的強い活性を示し、R-siteとU-siteであることが分かった。
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