研究課題/領域番号 |
02670988
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
堀内 龍也 群馬大学, 内分秘研究所, 助教授 (90008342)
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研究分担者 |
山内 清志 静岡大学, 理学部, 助手 (50201827)
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キーワード | 転写後修飾 / 甲状腺ホルモン / 多機能蛋白質 / 架橋形成 / 生理活性 / 甲状腺ホルモン結合蛋白質 / 点突然変異 / Protein Disulfide Isomerase |
研究概要 |
生理活性を持つ蛋白質の合成・分秘過程におけるSーS架橋形成による立体構造の形成や糖鎖による修飾はその蛋白質の生理活性発現に重要である。細胞の膜分画の55ーkDaの甲状腺ホルモン結合蛋白質(p55)はSーS架橋に重要であるProtein Disulfide Isomerase(PDI)としての活性など6つの機能を持つことが知られている多機能蛋白質であり、転写後修飾に重要な蛋白質であることをすでに報告した。そこで、このp55の多様な機能が細胞内でどのように振り分けられ、作用発現が調節されるかについて検討した。 1.ヒト胎盤cDNAライブラリ-からp55のcDNAをクロ-ニングし、このcDNAを組み込んだ大腸菌から、PDI活性とT_3結合活性をもつp55を精製し、その性質を検討した。 2.ヒト胎盤由来および遺伝子組み替えにより細菌に産生させたp55を用いて、p55自身に甲状腺ホルモンが結合することによって、甲状腺ホルモンの立体構造特異的(T_3=DーT_3〉〉Thyroxine)にp55のPDI活性を抑制することを明らかにし、甲状腺ホルモンは結合蛋白質であるp55に結合することによって、この蛋白質の機能の発現を直接制御している可能性を示した。現在、生細胞内で甲状腺ホルモンがどのようにこの蛋白質の活性に影響しているか検討中である。 3.p55のPDI酵素活性中心は2ヶ所あるが、N末端側の活性部位の一残基を替えた点突然変移遺伝子を作り、大腸菌に組み込んで、産生される変異p55を精製し、そのPDI活性を正常p55と比較した。その結果、PDI活性は正常の場合の半分に減少することから、p55には独立に働く2ヶ所のPDI活性部位を持っていることが明らかになった。現在、T_3の結合部位とPDI活性発現との関係を検討中である。
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