研究概要 |
camlーF116変異株を用いたin vivoにおける変異剤誘起により、胞子形成不能の形質が抑圧されるサブレッサ-変異株(scflー3)を単離し、それら変異株から調製したゲノムDNAのライブラリ-をcamlーF116変異株に導入することにより、scf3をクロ-ン化することが出来た。野生型scf3^+遺伝子をクロ-ン化し、8.5kbのDNA断片の塩基配列の決定を行った結果、その遺伝子には1957アミノ酸(MW 223kD)をコ-ドすると予想されるORFの存在が確認された。ホモロジ-検索の結果、このタンパク質は分子全長にわたりαーヘリックス構造をとりやすく、いわゆるコイルドコイル構造をとるのが特徴であり、ミオシン重鎖、ビメンチンなどの細胞骨格タンパク質と有意なホモロジ-が検出された。また、scf3の遺伝子破壊実験を行った結果、遺伝子破壊株は胞子形成不能の形質を示した。このことから、scf3はS.pombeの胞子皮の構成成分であると予想し、scfー1、scfー2のクロ-ン化とあわせて、さらに解析を進めている。一方、合成DNAを用いたin vitro siteーdirected mutagenesisにより、camlに点突然変異を導入したプラスミドをcaml^ー(camlー△IV)致死変異株に導入した形質転換体、あるいはゲノムcamlとの人為的置き換えにより変異を導入した突然変異株を作製した。それらの形質を調べた結果、Ca^<2+>ー結合ル-プに変異を導入した変異株のうち、第3、第4ル-プに同時に変異を導入したcamlー(F102,T137)変異株は25℃では生育可能であるが37℃では増殖不能な高温感受性(ts)変異株であった。caml^<ts>変異株を25℃から37℃にシフトしてその最終形態を調べた結果、シフト後すぐに細胞増殖は停止するが、少なくとも一つの形態では停止しないことからCaMの細胞周期制御が複数あると予想している。現在、caml^<ts>変異株の同調培養あるいは既知のcdc変異株との二重変異株を作製し、さらに解析を続けている。
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