研究概要 |
1.生体サンプル中のDー乳酸の蛍光並びにHPLC法による定量法。Dー乳酸を蛍光物質(2ーHydroxyー6,7ーdimethoxyー3ーmethylquinoxaline)に変化させ、この物質を蛍光分光光度計で測定するか、又はHPLCで測定することにした。その結果非常に高感度にDー乳酸が定量出来た。HPLC法では500fmolまで測定が出来た。この定量法によりメチルグリオキサ-ル経路の研究幹一段と前進することになった。(J.Chromatogr.,566(1991)1ー8に掲載) 2.運動前後における血、尿、汗中のDー乳酸量の変化。運動すると血漿Dー乳酸、Lー乳酸、ピルビン酸が急上昇した。その時Lー乳酸の方がDー乳酸より大きく上昇した。赤血球中のメチルグリオキサ-ル含量は運動後、著しく減少した。しかしDー乳酸及びその関連物質の尿中含量や汗中含量は運動とは余り関係がなかった。(これらのことはEur.J.Appl.Physiol.の1992年に掲載される) 3.糖尿及び飢餓ラットの肝、血液、筋肉中でのDー乳酸及びその関連物質の含量。ラットをストレプトゾトシンで糖尿病とした。糖尿と飢餓ラットでは血漿中、筋肉中、肝臓中でのDー乳酸は著しく上昇した。しかしピルビン酸のそれらの組織中含量は激減した。Lー乳酸は飢餓ラットのそれらの組織中で著しく低下したが、糖尿ラットの肝中では上昇した。メチルグリオキサ-ルは飢餓ラットでは血漿中では上昇し、肝及び筋中で減少した。糖尿ラットの肝中でも減少した。飢餓及び糖尿ラットの肝中の各種鍵酵素の活性を測定したところピルビン酸カイネ-スだけが正常ラットに比べて低下していた。よって、メチルグリオキサ-ルバイパスに流れたと推定した。Dー乳酸は飢餓や糖尿ラット群では正常に比べて尿中に多く排泄されていた。(Res.Exp.Med.に投稿中)
|