研究概要 |
申請者らは哺乳動物組識ホモジネ-トを用い、アスコルビン酸(AA)とマルト-スより新規安定型アスコルビン酸誘導体が生成すること,さらにはその構造が2ー0ーαーDーグルコシルーLーアスコルビン酸(AAー2G)であることを決定した。本酵素はαーグルコシダ-ゼであることが判明したので、AAー2Gの量産を目的に、種々の糖転移酵素をスクリ-ニングした結果、コメ種子αーグルコシダ-ゼやシクロデキストリングルカノトランスフェラ-ゼ(CGTase)にもAAー2G生成活性のあることを見出した。今回、標記研究課題を逐行するため、CGTaseを用いAAー2Gの量産を行った。即ち、反応液中にAA500g、αCD1000g、B.stear othermophilus由来CGTase400,000単位を加え、pH5.5に調整し、60℃,24hr糖転移反応を行った。反応後CGTaseとAILー1010を用い限外濾過により系から除いた。その後15,000単位のグルコアミラ-ゼを加え、pH4.5、50℃、24hrで加水分解し、中間体として得られるマルトオリゴアスコルビン酸をすべてAAー2Gとした。反応後、アミラ-ゼは前述と同様の方法で系から除いた。この際のAAー2Gの含量は33%であった。AAー2Gはイオン交換樹脂、アンバ-ライトHFSー471X、3×400cmで精製した。最終的にAAー2Gは97%純度で250g得られた。AAー2Gは熱,光、酸化的条件下においても極めて安定であることは既に判明している。生理活性に関しても、ヒト皮膚線維芽細胞コラ-ゲン合成促進作用ならびに抗壊血病活性を有していることが証明されている。本研究における課題の一つは、AAー2Gの自己免疫への応用を考えているが、培養リンパ球等を用いる基礎研究においては本来AAの細胞障害性が問題となっている。そこでAAとAAー2Gのin vitro細胞障害性に関し、マウス脾細胞及び鶏胚細胞を用い、比較したところ、AAー2Gには細胞障害性のないことが判明した。
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