研究概要 |
抗虚血活性薬剤の候補物質として1)サリチルアニリド類及び2)チオジアゾ-ル誘導体,3)ビタミンK_1エポキシド,4)ステロイドやトリテルペノイド例えばグリチルリチン酸のジサッカライドサルフェイト,5)各種ジサッカライド(例えばマルト-スやイソマルト-ス)サルフェイトなど多種類の化合物について,それぞれ新規合成法を検討し,大量合成の可能性も合わせながら最適な方法を開発中である。現在一部については,例えば1)のサリチルアニリド類10種類,2)のチオジアゾ-ル誘導体については4種類の合成を完了している。設備備品として計上した液体クロマト用紫外検出器は既に購入でき,これらの合成反応物の分離精製に活躍している。また,好低酸素性動物モデルである淡水産のカメ(イシガメ,クサガメ)を純粋窒素で低酸素状態で飼育し,すばやく単離した肝臓ミトコンドリアについて,高感度センサ-付きの代謝測定用セルを用い,エネルギ-代謝に対する上述のサリチルアニリド類及びチオジアゾ-ル誘導体薬剤活性を調べた結果,呼吸を促進することが明らかとなった。しかし,ラット肝臓ミトコンドリアに対して安定せず,しかも緩やかであった。また,今回用いた野生の淡水産カメの肝臓ミトコンドリアのpHに対するレスポンスは高いように思われた。 以上,合成及び活性については完全には終了しなかったが,大変興味ある結果から得られたと考えている。
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