研究課題/領域番号 |
02671023
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
奥 直人 摂南大学, 薬学部, 助教授 (10167322)
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研究分担者 |
早川 磨紀男 摂南大学, 薬学部, 助手 (30198824)
堀 隆光 摂南大学, 薬学部, 助手 (00199522)
伊藤 文昭 摂南大学, 薬学部, 教授 (80111764)
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キーワード | 腫瘍壊死因子 / TNF / 細胞傷害 / 細胞増殖 / プロスタグランジン / Gタンパク質 / 情報伝達機構 |
研究概要 |
腫瘍壊死因子(TNF)は細胞増殖、血管新生、免疫調節などの多様な作用を有しているが、特に培養腫瘍細胞に対して強い傷害活性を示す一方で、正常繊維芽細胞には増殖因子として働くTNFの選択毒性の機構は興味深い。我々は、TNFが増殖を促進する正常繊維芽細胞において、負の調節因子として増殖抑制的に働くプロスタグランジン(PG)を産生すること、このPGを過剰生産させることにより、正常細胞もTNFによって傷害を受けることを見いだしてきた。しかしながらTNFによりPG産生が誘導される機構については不明な点が多い。そこで実際に細胞でどのようなPGが生成しているか、またそれはどの様な機構で細胞の増殖抑制を行うかを検討した。まずアラキドン酸代謝物の測定に関して、HPLCによる分析系を確立し、正常繊維芽細胞株の一種であるFSー4細胞でTNFによりPGの産生が高まること、PGE_2がFSー4の主要なPGであることなどを見いだした。またTNF刺激によりPG産生が起こる過程で、ホスホリパ-ゼA_2が活性化されること、シクロオキシゲナ-ゼの活性が誘導されることを見いだした。さらにTNFにより傷害を受ける腫瘍細胞においてもTNFによりPG産生が高まること、一方でこのTNF感受性株から樹立したTNF耐性株では、TNFによるPG産生の促進が起こらないことも明かとなった。現在さらに詳しい解析と情報伝達について検討している。またTNFと受容体の結合の後にどの様にシグナルが伝達するかについても検討を加え、TNF受容体がGタンパク質と強固に結合していること、TNF煮よる腫瘍細胞傷害活性がIAPで抑えられるため、このGタンパク質はIAP感受性である可能性が強いことなどが明かとなった。本研究はサイトカインの情報伝達機構の解明に役立つと考えられる。
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