昨年度調製したヒト成長ホルモン受容体(hGHR)に対するモノクロ-ナル抗体(GHRP2ー88、GHRP2ー179)の性質を引き続き検討した。まず、ヒト肝hGHRの細胞外ドメインに相当するリコンビナントタンパクとの反応性をウェスタンブロット法により解析した。精製したこのタンパクを、これらの抗体を用いて免疫染色を行ったところ、GHRP2ー88、GHRP2ー179抗体により、このタンパクの分子量に相当する35KDaにバンドが検出された。この結果より、GHRP2ー88、GHRP2ー179抗体がhGHRを認識していることが確認された。次に各種ヒト培養細胞におけるhGHRの有無を検索する目的で、各種ヒト培養の膜画分を同様にGHRP2ー88抗体を用いてウェスタンブロット解析を行った。培養肝細胞HuHー7、リンパ球培養細胞Kー562において分子量120KDa付近に、IMー9に比べると弱いながらバンドが検出され、この2つの細胞にはその細胞当たりの数は少ないものの、hGHRが存在していると考えられた。また成長ホルモン受容体と相同性が高いプロラクチン受容体が多く存在していることが報告されているリンパ球培養細胞THPー1、HLー60とは反応しないことから、この抗体はプロラクチン受容体とは反応しないことが示唆された。モノクロ-ナル抗体を用いてヒトhGHRをウェスタンブロット法により検出した報告例はなく、こられの抗体はhGHRの解析に極めて有用であると考えられた。hGHRにはユビキチンが結合しているという報告があるが、結合ユビキチンの性質等については解明されていない。そこで、ユビキチン化の役割を明らかとする上で有用と思われる抗ユビキチンモノクロ-ナル抗体を作成した。ユビキチンタンパクを抗原とした場合に3種、また合成ユビキチンペプチド(11ー30)を抗原とした場合に2種の抗体を得た。IMー9細胞を、これらの抗体を用いたウェスタンブロット法により解析したところ、合成ペプチドを抗原とする2種の抗体で、遊離のユビキチンを含む数本のバンドが検出された。現在IMー9細胞上のhGHRに結合していると考えられるユビキチンの解析を行っている。
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