IMー9細胞をホルボ-ルエステル(PE)で処理すると低血清下での成長ホルモン依存性の増殖が抑えられたこと及びPEによりヒト成長ホルモン受容体(hGHR)のダウンレギュレ-ションが起こることが確認された。これらの現象はスタウロスポリンやスフィンゴシンにより抑えられることから、Cキナ-ゼの関与が考えられた。また、これに先立って、hGHRに会合している分子量55kDaのタンパクのリン酸化が上昇していたことから、55kDaタンパクが重要な役割を持つことが示唆された。 抗hGHRモノクロ-ナル抗体を調製しその性質を明らかにした。hGHRの細胞外ドメインのアミノ酸配列中4箇所のペプチドを合成し、ウシ血清アルブミンに結合したものを免疫原として、20のハイブリド-マを確立した。その中で、GHRP2ー88、GHRP2ー179抗体が有用と考えられた。即ち、IMー9細胞の膜画分またはヒト肝hGHRの細胞外ドメインに相当するリコンビナントタンパクを、GHRP2ー88、GHRP2ー179抗体を用いてウェスタンブロット法により解析を行ったところ、それぞれhGHRの分子量に相当する120kDa、リコンビナントタンパクの分子量に相当する35kDaにバンドが検出された。この結果から、GHRP2ー88、GHRP2ー179抗体がhGHRを認識していることが確認された。次に各種ヒト培養細胞におけるhGHRを検索する目的で、膜画分を同様にGHRP2ー88抗体を用いたウェスタンブロット解析を行った。hGHRはHuHー7、Kー562細胞にその細胞当たりの数は少ないものの存在していると考えられた。またhGHRと相同性が高いプロラクチン受容体が多く存在しているTHPー1、HLー60細胞とは反応しないことから、この抗体はプロラクチン受容体とは反応しないことが示唆された。 さらに、hGHRのユビキチン化の役割を明らかにする上で有用と思われる抗ユビキチンモノクロ-ナル抗体を作製した。ユビキチンタンパクを抗原とした場合に3種、また合成ユビキチンペプチド(11ー30)を抗原とした場合に2種の抗体を得た。現在IMー9細胞の膜画分を、これらの抗体を用いてウェスタンブロット解析を行っている。
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