研究概要 |
1TGFβsのヒト血管内皮細胞への作用とレセプタ-解析 ヒト血管内皮細胞の増殖に及ぼす作用は,細胞の種類,培養条件(細胞外基質の添加の有無),さらにTGFβのアイソフォ-ム(β_1およびβ_2)によっても異なった。それらの作用を細胞のレセプタ-を解析する方向から検討した。TGFβ_1を ^<125>I標識し,アフィニディラベル法を用いた。さい帯静脈ならびに肺静脈由来内皮細胞は,約80kDaと180とkDaのアイソフォ-ム特異的な結合性を示すTGFβ結合成分を発現している。180kDa成分はタイプIIIレセプタ-とは関連のない親規のTGFβレセプタ-(または結合蛋白)であろう。大網微小血管由来の内皮細胞では180kDaの成分は検出されず,双方のアソフォ-ムを結合する約300,80,および60kDaのタイプIII,II及びIレセプタ-に相当するTGFβ結合成分の発現を認めた。180kDaTGFβレセプタ-/結合蛋白の性状と情報伝達系における役割を検討中である。 2ヒト線維芽細胞に及ぼすサイトカイン ヒト線維芽細胞,TIGー7,WIー38細胞の無血清培養法を確立した。この培養系において,PDGF,FGF,EGF等は増殖促進因子として,TGFβが阻害因子として作用していることが明らかになった。TGFβを加えると,細胞はG_1期に停止した。また,アクチン束の顕著な発達がみられた。これらのTGFβの作用は可逆的であった。 3ヒトPDGFアイソフォ-ムの同定 ヒトPDGFのA鎖,B鎖を特異的に認識する抗体の作成に成功した。これを用いて,SKーMGー1細胞(ヒトアストロサイト-マ)に新規の長鎖型PDGF(AA)の存在を確認した。
|