研究課題/領域番号 |
02671045
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研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
小船 富美夫 国立予防衛生研究所, 麻疹ウイルス部, 主任研究官 (80142644)
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研究分担者 |
杉浦 昭 国立予防衛生研究所, 麻疹ウイルス部, 部長 (80077172)
棚林 清 国立予防衛生研究所, 麻疹ウイルス部, 研究員 (50197505)
坂田 宏子 国立予防衛生研究所, 麻疹ウイルス部, 主任研究官 (70175363)
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キーワード | 麻疹ウイルス / プロトタイプ / 病原性 / カニクイサル / 実験系 / B_<95a>細胞 |
研究概要 |
麻疹ウイルスの多様な病原性(急性発疹性疾患と違発性疾患)とその強力な伝染性を検討する目的で本年度はプロトタイプ麻疹ウイルスの分離法とヒトの麻疹を再現する動物実験系の確立を試みた。成績は以下に述べるとおりである。 1.強毒野外麻疹ウイルス84ー01株と84ー04株をカニクイサルに皮下及び経鼻接種したところ、何れもコプリック班と全身性の発疹とリンパ球減少症を認めた。 2.感染サルのリンパ球サブ・ポピュレ-ションの変動を検索した結果、感染初期(発疹出現前期)にCD4/CD8の上昇、回復期に低下傾向を示した。 3.野外麻疹ウイルスの年令2〜3才の若サルと9〜12才の成熟サルに其々接種した。その結果、成熟サルは全身性の丘疹を示し、若サルに比較してその臨床像は激しかった。病理組織学的所見に於いても全身のリンパ系組織、胸腺に極めて大型の巨細胞型と多量の感染性ウイルスの増殖を認めた。 4.リンパ球由来の継代細胞B95aを用いて複数の野外株ウイル増殖様式を検討したところ、リンパ球内で野外ウイルスは容易に持続感染を成立する傾向を示した。 5.病原性ウイルスと非病原性ウイルスの構成蛋白を比較した結果、分子量に大きな相違は観られなかった。モノクロ-ナル抗体を用いた抗原分析において内部構成蛋白の1〜2の抗原決定基に抗原変異を認めた。 以上の成績はこれまで困難であった麻疹ウイルスの病原性の研究に途を拓くものと考えられる。
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