研究課題/領域番号 |
02671045
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医学一般
|
研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
小船 富美夫 国立予防衛生研究所, ウイルス製剤部, 主任研究官 (80142644)
|
研究分担者 |
棚林 清 国立予防衛生研究所, ウイルス製剤部, 研究員 (50197505)
坂田 宏子 国立予防衛生研究所, ウイルス製剤部, 主任研究官 (70175363)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1992
|
キーワード | プロトタイプ麻疹ウイルス / 病原性 / B95a細胞 / 動物実験系 / HA蛋白 |
研究概要 |
野外麻疹ウイルスの高感度分離法と麻疹の動物感染実験系を確立し、近年の野外流行ウイルスの性状を検討し、下記の成績を得た。 1)野外麻疹ウイルス(WMV)の高感度分離法を確立した。これによりWMVの入手が極めて容易になった。本法は国内・外の26機関で既に導入されている。 2)本法で分離されたWMVをサル類に接種する方法で初めてヒト麻疹を再現する動物実験系を確立した。これにより麻疹ウイルスの病原性に関する研究が可能になった。 3)1980年代からWMVのHA、M蛋白は分子量に増加を、ミドリザル赤血球に対するHA活性に失活傾向を示すなどその生物学的性状を次第に変化しつつあり、抗原性の変異も推測される。 4)HA蛋白の塩基配列を解析したところ、近年の流行ウイルスは1266位にG→A置換を示し、同部位が新たに糖鎖結合部位が形成されることが明らかにされた。先のHA蛋白の分子量増は糖鎖結合によるものと考えられた。 5)サル感染実験の結果、WMVはリンパ病原性と向神経性ウイルスに大別され,野外には異なる病原性ウイルスの混在することが明らかにされた。向神経性ウイルスは経鼻感染により早期に脳室周辺に侵入・拡散され神経細胞で一過性に増殖することが明らかにされた。リスザルに脳内接種すると大脳白質部に明瞭な脱髄病変を形成し、病巣内に特異抗原陽性の巨細胞が観察された。 6)ウイルス増殖の主要な標的器官は腸管膜根リンパ節をはじめ全身のリンパ系組識、胸腺、骨髄であった。 本研究によりプロトタイプ麻疹ウイルスに関する実験系が初めて確立され、WMVの病原性に関する多くの新知見が得られた。
|